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Scene:2002年7月19日京都 次男宅/「カラマーゾフの兄弟」現代パロディ |
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カラマパロ |
※習作というより設定。未推敲悪文注意。
兄貴というやつは、もしかしたら、親父以上のきちがいかもしれない。この炎天下、東京から京都までバイクでぶっ飛ばして来ることがすでに正気の沙汰ではない。のみならず、アパートのドアに首をあずけて、いびきをかいて寝転がっていたのには度肝を抜かれた。俺が帰ってこなかったらどうするつもりだったのだろう。無計画にもほどがある。連休前の京都のホテルに空きなんてありませんよと言うと、兄貴はへえと呑気に言って目を丸くした。
「今夜はここに泊まってくださって構いませんが」できるだけ慇懃な調子で言う。「明日は困りますよ。東京に行く予定なんです」
「東京だって!」兄貴はカップラーメンをすするのをやめて躍り上がった。「田園調布に帰るのか?」
「実家に? まさか。T大の社会学の教授まで、書類一枚届けるだけですよ。うちのK大の恩師から使いを頼まれましてね。宿は安いビジネスホテルを取ったし、滞在は一泊だけです」
「なるほど、いや、しかし、こいつは神様仏様のオボシメシだ!」兄貴は高く手を打った。「少しくらい、時間は取れるだろ? なあ、俺の頼みも聞いてくれよ。いいだろ?」
兄貴の声はやたらと響く。安普請のアパートだ。俺はひとまずやつを畳に座らせた。
「言っておきますが、親父に会うのはお断りですよ」
「だれが弟にそんな真似させるもんか。あのクソ親父! あいつさえいなきゃ、おまえにこんな頼みをすることもねえだろうに。なあ、このとおり、頼む。俺の婚約者に会ってくれ」
「婚約者? ご結婚されるのですか?」
「よせ! 俺は結婚なんかする気はない! 親父が勝手に持ってきた見合い話なんだよ! 相手は京都の有名老舗旅館の箱入り娘だ。O女子大学の四年生で、麻布のマンションに住んでる」
「もう見合いしたんですか?」
「何度か会った。あのお嬢さんに罪がないことは分かってるが、あまりに俺とはタイプが違いすぎる! 良家の令嬢なんて俺の肌に合わん。いや、親父の真意はわかってるさ。京都の観光ビジネスのかなめである娘と、俺を政略結婚させて、ついでに俺を会社の二代目に仕立てようという魂胆だ。だが、社長も結婚も俺はごめんだ! なあ、あのお嬢さんと会って、俺の悪口でも吹き込んで、婚約破棄にうまーく誘導してくれ。この通りだ、な?」
泰然とうなずきながら、俺はひそかに、親父もたまには良策を練るものだと考えた。この兄貴というやつは気ままな根無し草だ。一九七四年生。就職こそ四歳下の俺の世代と比すれば若干マシだったとはいえ、バブル世代ほどに浮かれた性根を持ち合わせているわけではないだろうに、中学時代には呑気なヤンキー不良軍団の一味になり、親父が金を積んで何とか入らせた私立高校は二ヶ月で退学、その後はフリーター職をお気楽に渡り歩きながら、はや今年で二十八歳だ。限りなく底辺に近い暮らしのくせに、ちっとも悲壮感がなく、いざ本気で困ったらどこからか自然と金がわいてくると半ば本気で信じている。親父もとうとう社の命運をかけて、このろくでなしの長男を更正させようという気になったものとみえる。結構なことだ。
「いいですよ」俺は答えた。むろん、こいつの願いを果たすつもりなんか毛頭ない。さっさと嫁をもらって落ち着いてもらう魂胆だ。俺は兄貴を褒め上げてやるための極上のシナリオを練り始めた。
「ありがとよ! おまえ、いいやつだな!」兄貴はたくましい腕を振りあげて馬鹿まるだしのガッツポーズをした。「まったく、俺にだって他に好きな女はいるってのに、結婚を強制するなんざあの親父、つくづく人間じゃねえ」
「好きな女?」
「いい女なんだ」うっとりとした目をしてくれる。「歌舞伎町のNo.1キャバ嬢なんだぜ。源氏名は……」
最悪だ。貯金もせずに、バイクを好き放題に乗り回して、キャバクラに通い詰めているのかこいつは。自分の食い残したラーメンを流しのゴミ箱にあけて、俺はためいきをついた。
母親が違うとはいえ、かたや弟の俺はどうだろう。修士課程は大学から学費全額免除がおりたからいいものの、学部の四年分については、半年前、何とか奨学金を返還し終えたばかりだ。そのたかだか数百万の工面さえも、十八歳のときのあの転機がなかったら、とてもままならなかっただろう。あのとき、最若手の批評家として論壇で脚光を浴びることがなければ、ありきたりの学習塾の講師か何かで細々と生計を立てるしかなかったところだ。それでも、京都の物価は高いし、執筆という仕事は何かと物入りだ。珍しい苗字のせいか、俺があの親父の会社の御曹司だということは一部の論壇オタクどもの噂になっていたし、俺をたいそう羽振りのよいお坊ちゃんと勘違いする者もいたが、とんだお門違いだ。俺は今でもこんな壁の薄いアパートに住んでいるし、苦しい生活の中で貯めた東南アジア放浪のための旅費だけが心の命綱なのだ。
「なあ、もうひとつ頼みがあるんだ」
「まだあるんですか?」
「俺たちの弟のことだよ」
「…………」
「おまえのことを気にしているぞ。あの子にも会ってやれよ。な?」
Re: 本当の愛情 親子編
Re: 起爆剤がない
それが本当にやりたいことなら |
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いますぐにでも始めるべきだ。
そうじゃないなら捨てちまえ!
自分にも、こうやって誰かにハッパをかけられたいと
思う事があってさ。
今日のBGM前編 |
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BGM |
パロミタ・ブランカ(白い鳩)<トリニダード・トバゴ/カリブのうた>
Conclusion
バリ_ジャイヤン・タンギス
ショパン: ワルツ第1番, 変ホ長調, Op. 18, 「華麗なる大ワルツ」
バリ_ジャヤ・スマラ
パンソリ「沈清歌」
一谷嫩軍記 熊谷陣屋の段
An Angel Went Up In Flames
シルヘットの歌
ショパン: 春の歌, Op. 62-6
Minha Namorada - Primavera
I Will Set You Free
無伴奏チェロ組曲第1番ト長調 プレリュード
California
敗戦
ガラ2000
Firedance
I Will Never Let You Go
バリ_タブ・ウンパッ;プゲチェ
リスト: 「3つの演奏会用練習曲」, 溜息
第3楽章 スケルツォ、モルト・ヴィヴァーチェ
Lift The Wings
The Heart's Cry
Quality Of Life
チャイコフスキー: エフゲニー・オネーギン, 第3幕 - ポロネーズ
モンポウ: 歌と踊り第1番
Riverdance(Remix)
Oraison
Can't Find My Way Home
闘志躍動
《眠れる森の美女》 ワルツ (第1幕I)
モーツァルト: ピアノ協奏曲第26番, ニ長調, K 537, 「戴冠式」 - 1. (冒頭)
Bavaroise
チャラメーラ
歌劇『ラ・ボエーム』第1幕より「私の名はミミ」
《常動曲》作品257
Cantique De'l Ancien Testament
Àgua de Beber
チェイルリーの庭 :展覧会の絵
喜歌劇《こうもり》序曲
愛という名の欲望
Lodi
Angelic Butterfly
カヤール/ラーガ:ナト・バイラヴ
A Love That Will Never Grow Old
Você e Eu
ドビュッシー: アラベスク第1番
第3楽章
I can go now. |
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「もういってもいいかな」
8歳の子がどういう気持で言ったんだろう。
涙。
夢を追っている友人を見ると |
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とても羨ましいと思うんだ。
俺よりいくつか上なのに、いまだにバイトで食いつないで
売れない劇団員でいる友人。たまにテレビにも出ているらしいが
それでも食っていくにはほど遠いらしい。
ある人は「いい歳して」という。
「見極めも大事だよね」など。
でも夢を趣味に持ち替えてしまった俺には、アイツはとても輝いて見える。
「いい歳して」とは思う。
「見極めも大事」だろう。
でも、やっぱり羨ましい。
ベッドサイドマルチメディア |
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鍵もリモコンも読みかけの本も携帯電話も全部そのへんに置いておけばどんどん便利になっていくのに、なんでみんなわざわざしまっちゃうんだろう。
ごめんなさい片付けます。